こんにちは。在宅ブログワークで2児の子供を育てる、シングルマザーブロガーささえみです。
今回は、児童扶養手当の所得制限の見方と、支給される金額の計算方法についてお話していきます。
ひとり親家庭の家計を助ける国からの手当ての代表的なものと言えば、『児童扶養手当』です。全ての子育て世帯が受け取る「児童手当」とは別で、ひとり親家庭ならではの手当です。
この児童扶養手当は、ひとり親になったら無条件でもらえるのか?というと、そうではありません。
そう、どんな手当でも必ずある「所得制限」という基準が、児童扶養手当にも適用されます。
児童扶養手当の所得制限の基準と、所得の計算方法は、ハッキリ言ってとてもややこしい!自治体の案内を見ていても「はぁ????」と、何回もつぶやいてしまうレベルです。
だからと言って「分からない」で終わらせてしまうのも、腑に落ちる感じがしなくて気持ちが悪いですよね。
そこで、児童扶養手当の所得制限の基準と、所得の計算方法について、分かりやすくまとめてみました。
この記事に書かれていること
まずは確認!児童扶養手当の支給金額
児童扶養手当の支給金額は、物価の変動によって変わりますが、現在(平成29年1月時点)で次の通りになります。
児童の数 | 全額支給の額 | 一部支給の額 |
第1子 | 月額42,330円 | 月額42,320円~9,990円(10円刻み) |
第2子 | 月額10,000円 | 月額9,990円~5,000円(10円刻み) |
第3子以降 (1人につき) |
月額6,000円 | 月額5,990円~3,000円(10円刻み) |
●児童とは?
18歳の年度末(3月31日)に到達するまでの子供のことです。(ただし、子供が障害を持っている場合は20歳まで)
上の表の「一部支給」が、所得制限の基準によって減額された場合ということです。所得の額によっては、全額支給停止、つまりはゼロ円というケースもあります。
ならば、その肝心かなめの所得制限とは!?
ややっこしい所得制限表の見方を理解しよう!
児童扶養手当の所得制限に関する基準表を見る前に、まずは「いつの、誰の所得をチェックしてるの?」について確認しておきましょう!
まずは、チェックされる所得の時期について。
児童扶養手当の支給額に関わる所得は、
- 申請した月が1月~6月ならば、前々年の所得
- 申請した月が7月以降ならば、前年の所得
をもとに計算されます。
例えば、平成28年9月に申請をしたとすると、チェックされるのは前年の平成27年の所得。平成28年3月に申請をしたとすると、チェックされるのは前々年の平成26年の所得だということです。
そして、誰の所得をチェックしているかというと、申請者はもちろん、申請者と一緒に住んでいて所得がある人全員がチェック対象となります。
※住民票で世帯が別になっていても、同じ屋根の下に住んでいて生計が同じならば、ひとり親以外の所得のある人もチェックされる。
●「生計が同じ」ってどういう状態?
これは、生計を同じにしていない状態をイメージすると分かりやすいです。
例えば、
- 同じ敷地内に住んでいるけれど建物は別
- ガス・水道・電気代などをそれぞれ別の契約にしていて、領収書も別
- 家賃や固定資産税を折半で支払っている
などの「証拠」があれば、生計を別にしているとみなされます。そのような証拠がお役所に提出できなければ、「家族みんなで協力して生活しているよね」とみなされ、「生計が同じ」になるケースが多いです。
実家に住んでいるシングルマザーが児童扶養手当の申請者となった場合、同居しているシングルマザーの父親や母親(おじいちゃん・おばあちゃん)の所得もチェックされます。
シングルマザーの兄弟姉妹が同居していて、しかも所得があれば、それもチェック対象になります。
そして、所得のある人のうち、誰か一人でも所得制限の基準を超えると、児童扶養手当は支給停止(支給額ゼロ円)となるのです。
さてここで、児童扶養手当の所得制限表を見て、さらに具体的にお話していきます。
扶養親族等の数 | ひとり親本人の所得 | 扶養義務者の所得 | |
全部支給 | 一部支給 | ||
0人 | 19万円 | 192万円 | 236万円 |
1人 | 57万円 | 230万円 | 274万円 |
2人 | 95万円 | 268万円 | 312万円 |
3人 | 133万円 | 306万円 | 350万円 |
4人 | 171万円 | 344万円 | 388万円 |
5人 | 209万円 | 382万円 | 426万円 |
以下、一人増えるごとにプラス38万円 |
例えば、次のような家族がいたとしましょう。
- シングルマザー本人(前年所得210万円)
- シングルマザーの子供1人(小学生)
- シングルマザーの父(前年所得450万円)
- シングルマザーの母(専業主婦)
※同居しているが、住民票の世帯は【本人・子供】【父・母】で別になっている
この家族のケースだと、シングルマザー本人と、その父に所得がありますから、それぞれについて所得制限表の基準に照らし合わせてチェックをしていきます。
まずはシングルマザー本人から。
このシングルマザーは、子供が1人いるので扶養親族の数は1人です。なので、所得制限表の「扶養親族等の数」が1人の行を見ていきます。
シングルマザーの所得は210万円なので、一部支給の対象内にいることが分かります。
では、次にシングルマザーの父の所得チェックです。
シングルマザーの父は、専業主婦の妻を扶養しているので、扶養親族等の数が1人になります。
シングルマザーの父は上の表で言う「扶養義務者」に当たります。ということは、扶養親族等の数が1人の行の、扶養義務者の所得制限額を見ることになります。(274万円)
シングルマザーの父の所得額は450万円。所得制限額の274万円を超えています。
児童扶養手当は、誰か一人でも所得制限の基準を超えると支給が停止されるため、この例では支給額0円となります。
このように、児童扶養手当が支給されるか否かの所得チェックは、ひとり親本人だけでなく、一緒に住んでいて生計を同じにしている家族(所得のある人)にもおよびます!
※「一緒に住んでいて所得のある人=扶養義務者」の範囲はどこまでなのか?詳しく書いた記事もあります。参考にどうぞ↓
>>児童扶養手当の扶養義務者って誰のこと?その範囲は?民法を調べてみた
扶養親族の数が「0(ゼロ)」と言われたんだけど、子供いるのにゼロってどういうこと!?
「児童扶養手当を支給しようと申請したものの、扶養親族の数が0人で計算されたので支給されなかった!」という話もよく耳にします。
確かに、ひとり親として申請しているのに、扶養親族の数がゼロって納得がいかないですよね?確実に子供を扶養しているのに!!
これは、「前年(もしくは前々年)の所得=前年(前々年)の扶養の状態」で判断されているからです。
離婚して間もないシングルマザーの場合ならば、前年(前々年)の扶養親族の数に子供はカウントされません。前年(前々年)は、子供は元ダンナの扶養親族ということになっているからです。
次の年になれば、シングルマザーの子供として、扶養親族の数にカウントされるようになります。(毎年8月に現在の状態を届け出るので、カウントされるのはその後です)
正確な所得をもとに判断されるので、仕方がないことかもしれませんが、タイムラグがあると焦ってしまいますね。(私も離婚した当時はめっちゃ焦りました・・・)
所得=年収じゃない!所得ってどうやって計算するの?
さて、先ほどから所得所得と言っていますが、所得は年収とイコールではありません。
所得とは、年収からいろんな「控除」を差し引いて残った金額のことです。
※控除とは、その人の家族構成や身体の状態などを考慮して、年収から引くことのできる金額のことです。
所得に税率をかけて税金が計算されるので、控除が増えるほど(=所得が少なくなるほど)税金が安くなるというワケです。
そして児童扶養手当においては、所得が少なくなるほど支給額が増えるということです。
さて、そんな所得の計算方法ですが、次のようになります。
●ひとり親本人の所得の計算式
児童扶養手当における所得=年収-8万円-いろいろな控除+年間の養育費の8割
●ひとり親以外の扶養義務者(じいじやばあば、兄弟姉妹)の所得の計算式
児童扶養手当における所得=年収-8万円-いろいろな控除
そうなんです。ひとり親本人の所得には、元相方から送られてくる養育費の8割も加算されます。これはひとつ、頭に置いておいてくださいね。
では、「いろいろな控除」について、もう少し詳しくお話していきます。
差し引くことができる控除の種類はコレ!
次の種類のうち、当てはまる控除の合計を年収から引くことができます。
- 給与所得控除
勤め先からのお給料の額によって控除の額が変わります。詳しくは>>国税庁の情報をどうぞ。 - 老人扶養親族控除
70歳以上で所得が38万円以下の親族と同居して養っているなら58万円。同居していないなら48万円が差し引けます。 - 老人控除対象配偶者控除
70歳以上の扶養義務者(じいじやばあば)の所得チェックの際に引ける金額です。その人の配偶者(じいじならばあば、ばあばならじいじ)の所得が38万円以下なら控除として48万円が差し引けます。 - 特定扶養親族及び控除対象扶養親族
所得のない19歳~23歳を養っているなら1人につき63万円、所得のない16歳~18歳を養っているなら1人につき38万円差し引けます。 - 障害者控除と特別障害者控除
政府が定める基準に当てはまる障害者を持っている申請者か、もしくは障害を持っている家族を養っている場合、27万円、もしくは40万円が差し引けます。(←金額は障害の重さによって決まります) - 勤労学生控除
働きながらも学校で勉強している場合、27万円が差し引けます。 - 寡婦控除と特別寡婦控除、寡夫控除
扶養義務者(じいじ、ばあば、兄弟姉妹)の所得チェックの際に引ける金額です。ひとり親本人の所得チェックの際には適用されません。寡婦控除、寡夫控除は27万円、特別寡婦控除(年間所得が500万円以下の場合)は35万円差し引けます。
寡婦(寡婦)とは、結婚後にパートナーと別れた人のことです。未婚のシングルはこの控除の対象外になります。 - 雑損控除
災害などで、家や生活に必要なものが失われたときに手続きすれば受けられる控除です。控除金額がそのまま差し引けます。 - 医療費控除
年間の医療費が高額になった場合に、手続きすれば受けられる控除です。控除金額がそのまま差し引けます。 - 小規模企業共済等掛金控除
個人事業主などが入る保険のようなものです。年間で支払った掛け金がそのまま控除として差し引けます。
このように、家族の年齢や家庭の状況によって、当てはまる控除はさまざまです。
所得が計算できたらゴールはもうすぐ!児童扶養手当の実際の支給額の計算
さて、収入のある家族全員の所得が計算できて、児童扶養手当の所得制限表に照らし合わすと、わが家は全部支給なのか、一部支給なのか、支給されないのかが分かるはずです。
扶養親族等の数 | ひとり親本人の所得 | 扶養義務者の所得 | |
全部支給 | 一部支給 | ||
0人 | 19万円 | 192万円 | 236万円 |
1人 | 57万円 | 230万円 | 274万円 |
2人 | 95万円 | 268万円 | 312万円 |
3人 | 133万円 | 306万円 | 350万円 |
4人 | 171万円 | 344万円 | 388万円 |
5人 | 209万円 | 382万円 | 426万円 |
以下、一人増えるごとにプラス38万円 |
- ひとり親が全額支給の基準に満たないし、扶養義務者も基準に満たない→全額支給
- ひとり親は基準に満たないが、扶養義務者は基準を超えている→支給ナシ
- ひとり親が全部支給~一部支給の間で、扶養義務者は基準に満たない→一部支給
- ひとり親が一部支給の基準を超えているが、扶養義務者は基準に満たない→支給ナシ
一部支給となった場合は、さらに次の式に当てはめて支給額を計算していきます。
第1子の支給額=42,320円-{(申請者の所得額-全部支給の所得制限限度額)×0.0186879+10円}-公的年金等受給額
第2子の支給額=10,000円-{(申請者の所得額-全部支給の所得制限限度額)×0.0028844+10円}-公的年金等受給額
第3子以降の支給額=6,000円-{(申請者の所得額-全部支給の所得制限限度額)×0.0017283+10円}-公的年金等受給額
※公的年金等受給額・・・65歳以上から支給される老齢年金・遺族年金・障害年金・労災年金・労働基準法による遺族補償などのひと月当たりの金額。
漢字ばっかりでだんだん目がチカチカしてきますが、ここまでくれば児童扶養手当の一部支給額がもうすぐ分かります!がんばりましょう。
ここまでが、児童扶養手当の所得制限表の見方や、受け取れる額の計算方法のすべてです。
児童扶養手当は「つなぎ」のお金であることをお忘れなく!!
ひとり親には助かる児童扶養手当ですが、あくまでも「つなぎ」の給付金です。そもそも、この手当の意味が「ひとり親の自立を助けるため」だからです。
なので、受け取れるのは子供が18歳になるまでですし、受給し始めてから5年経っても親がまともに働いてない場合は減額されます。
『どうやったら満額受給できるのか?』ばっかり考えていては、生活の質は上がりません。子供の未来への投資もできません。
「食費や日用品にかかるお金は少しでも安く済ませよう」
「塾なんてとんでもない!お金のかかるスポーツはやらないで」
「旅行かぁ~いいな~、テレビ見て行った気になろう」
こんなことを考えながらこの先ずーっと暮らすのは、しんどくありませんか?
世の中お金だけが全てじゃないと言われますが、やっぱり経済的な縛りがあると、心がきゅうくつになります。気が付けばお金のことばっかり考えてしまうようになります。
本当はもっと、子供の幸せのことを考えたいのに。
別にそれでいいと言われれば、何も返す言葉はありません。しかし、どうにかして今の状況を抜け出したい!と思うのであれば、アタマを柔らかくするのが一番です。
「1か所の勤め先からお給料をもらって生活する」という収入の得方。本当にそれしか方法はないの?
今まで世間から常識として叩き込まれた考え方を、ほぐしてみてください。
収入が得られる道を複数持つ
この考え方から、突破口が見つかるかもしれません。
ひとり親だから、社会的弱者だという「思い込み」は捨てましょう。考え方次第で、いくらでも道は開けるし、親子ともども強くなれるはずです。
仮に児童扶養手当がなくなったとしても困らないように、今から手を打っておく!
そのためには、「できることしかやらない」では心もとないですね。
親になったからこそ、新しいスキルを身に付けるためにガンガン行動を起こす!そんなシングルマザーが一人でも増えると、世の中絶対変わるはず!!