こんにちは。在宅ブログワークで2人の子どもを育てる、シングルマザーブロガーのささえみです。
先日、親しくさせていただいているファイナンシャルプランナーのもとで、年金のお勉強をしてきました。
そこで出た話題のひとつに「離婚した時の年金分割」というものがありまして。
つまりは、「離婚した相方から年金の一部を受け取れる」という制度なのですが、「相方の年金額の”半分”をもらえる」と誤解している人が多いようなのです。
年金分割とは、離婚した相方の年金額を半分もらえるものではありません。半分もらえるのは「年金に関するある記録」です。
ならば、その記録とは一体何か?詳しい金額は分からないのか?厚生労働省のデータなどを調べに調べまくってまとめてみました。
「離婚しても相方から年金半分もらえるから~」・・・と、安易に別れてしまうご夫婦に「気付き」を提供するためにこの記事を書きます。
この記事に書かれていること
年金分割で分割される「ある記録」とは?
年金分割っていう言葉の響きから、相手が将来もらう年金の半分の額を受け取れるように誤解しがちです。
しかしながら、本当に分割されるのは年金の金額ではなく「年金を納めた記録」です。しかも「厚生年金を納めた記録のみ」が対象となります。
年金はざっくり分けて「国民年金」と「厚生年金」の2種類あります。
自営業・学生・無職の人が加入するのが国民年金。会社員の人が加入するのが厚生年金です。
年金分割で分割の対象になるのは会社員の人が入っていた厚生年金のみで、自営業者などが入っている国民年金は分割の対象とされません。
なので、離婚した自営業のダンナから妻が年金を分割してもらおうとしても、ムリです。
※会社員が加入する厚生年金は「国民年金+アルファ」の構造になっています。離婚時の年金分割で分けられるのは、プラスアルファの部分のみ。
さて、話は戻ります。
先ほど「年金分割で分割できるのは、年金そのものの金額ではなく厚生年金を納めた記録だ」と言いました。
これをもう少し詳しく説明すると、
- 厚生年金を多く納めていたほうが、少ない方に納めた記録の最大1/2を渡す
- 結婚していた期間のみの記録を分割する
というルールになります。
分かりやすいように図で表すと、こんな感じです。↓
【夫が会社員で妻が専業主婦の場合】
結婚していた期間に厚生年金納付記録がある方が、ない方に1/2渡す。
【夫婦とも会社員の場合】
結婚していた期間の厚生年金納付記録を二人分足して2で割り、均等に配分する。
厚生年金の記録を分割される方(図で言うと夫)は、その分納めた年金保険料が減るので、65歳からもらえる年金額も減ります。
厚生年金の記録を分割された方(図で言うと妻)は、その分納めた年金保険料が増えるので、65歳からもらえる年金額も増えます。
もしも結婚していた期間中、妻のほうが厚生年金を多く納めていた場合は、これが反対になります。
離婚時の年金分割とは、こういう意味なのです。
年金分割により、将来もらえる年金額は具体的にいくらになるのか?
年金分割によって将来もらえる年金額がどれくらいになるのかは、実のところ正確には分かりません。
そもそも年金額は、物価や景気、これから先働く月数など、さまざまな要素を含んだ計算式で決められます。
例えば35歳で離婚した場合なんかは、年金がもらえる65歳まではあと20年もあります。20年後の物価や景気なんて分かりませんよね。
そして、離婚後にどんな雇用形態で働くのか?いつ再婚するのか?再婚したら専業主婦になるのか?という、これから先の年金に関わる人生のできごともハッキリとは分かりません。
だから、正確には計算できないのです。
※ただし、50歳以上で年金を収めた記録が25年以上ある方なら、年金事務所に行けば計算してもらえるようです。
ですが、年金分割により「増える分の年金額」なら、ある程度おおざっぱな計算で出すことができます。
日本経済新聞の受け売りになりますが、その計算方法はこちらです。↓
①相方の「ねんきん定期便」を見て、「老齢厚生年金額の報酬比例部分」の金額をチェックする。
↑相方が50歳未満の場合はこの欄をチェック
↑相方が50歳以上の場合はこの欄をチェック
②「結婚年数/相方が会社に勤めている年数」の割合を求める。
例)相方が22歳から会社勤めをしていて現在45歳。自分との結婚年数が10年だとすれば割合は10/23
③①の金額に②の割合をかける。
④③をさらに2で割る。すると、増える分の年金額の年額が分かる。
⑤④をさらに12で割ると、月額分が分かる。
夫婦共に会社員の場合は、①~③を各自で計算し、合計してから④に進む
これで、年金分割した場合に増える、おおよその年金額の数字を出すことができます。
年金分割によって実際に増えた年金受け取り額のデータ
厚生労働省では、年金分割についてのデータを公表しています。
平成26年の状況をデータで見てみると、年金分割をしたことにより、平均で月3万円ほど年金の受取額が増えていることが分かります。
ここで「私も相方と離婚して年金分割をしたら、月3万くらいは増額されるんだわ!」と安易に考えてはいけません。
このデータは、今現在、実際に年金を受け取っている人(65歳以上のシニア世代)のものです。
離婚時の年金分割の制度は、平成19年から始まりました。そして、年金分割を受けるには、離婚後2年の間に申請しなければいけないというルールがあります。(2年を過ぎると無効になります)
つまり、今現在年金分割により受取額が増えている人は、
何十年と連れ添った相方と熟年離婚
↓
平成19年から始まった年金分割に離婚後2年以内に申請
↓
結婚期間中の長期間の厚生年金の記録が分割された
↓
月3万円の増額
というケースが多いと考えられます。
何十年連れ添った相方との離婚(分割できる厚生年金の記録が何十年の場合)で、月3万円ほどの増額ですから、3年5年でポロっと離婚したケースでは、年金分割による年金額の増額分はもっと少なくなると予想されます。
また、年金分割の申請手続きを超がんばったとて、いざ年金受給の年齢になって受給資格に満たなければ、年金は1円たりとも受け取れません。
※年金の受給資格・・・年金保険料を納めた期間が合計で10年以上(免除期間も含む)
「離婚しても相方の年金半分受け取れるし~」と、安易に考えていてはいけないのです。
離婚するにせよしないにせよ、依存心はない方がいい
離婚を考えている夫婦には、それぞれ事情があります。
なので「離婚なんかしない方が幸せだよ!」とか「離婚して新たな人生歩んだ方がいいよ!」などと言ったペラペラの紙みたいな意見は言いません。
ですが、どんな選択をするのであれ、「依存心は持たない方がいい」ということはハッキリ言えます。
離婚しても慰謝料もらえるし、養育費もらえるし。年金分割もできるし。
「この人と一生を共にするのはイヤ」と言っておきながら、心の隅っこの方で「あわよくば、これからの私の人生も保証してほしい」という期待を忍ばせる。
縁は切りたいけれど、金づるにはなって欲しいって、どうなんでしょ?
期待していたお金が相方からもらえなかったら「あいつのせいで人生台無しになった」とか言いながら余生を過ごすんですか?
悲しいですよね。
離婚するにせよしないにせよ、相手に依存したままの人生は危険です。
離婚せずに夫婦円満でも、いずれ順番に死にますし、統計上男性の方が早く死にます。
「主婦だから」「社会経験ないから」「女だからメンタルが弱くて」とか言ってる場合じゃないんですよ。
いずれ依存できる相手がいなくなる可能性はあるのですから、さっさと依存体質を抜けるために自分で身を立てる方法を見つけなくては。
外注ライター、クラフト小物のネット販売、転売ビジネス、私がやっているブログアフィリエイトなどなど、世の中探せばいくらでもやり方はあります。
離婚した相方にずるずる依存するよりは、自らのスキルを磨いて「いつでも好きな時に収入を生み出せる自分」になることを優先したほうがいいと、私は思います。
年金分割は手段のひとつであって、それに人生の比重を大きくかけるのは違う気がします。
分割するしないは自由ですけど、もししたとしても「私自分で生きていけるから返すわ!」くらいの強さで人生を歩む清々しい人のほうが、絶対格好いい。